こんにちはシャム猫です。
会社などの組織やグループで物事を決める際に、多数決を用いることがよくあります。
多数決とは、ある集団において意思決定を図る際に、多数決の意見を採用する方法のこと
引用:Wikipedia
多数決の意味を理解しても「どうして多数決なの?」と感じている方も中にはいらっしゃるはずです。民主国家である日本では、小学校のころから公平な手段として多数決が用いられてきました。学校のみんなで決めたことだから仕方がない、きっと正しいことだと思い込んでいることはないですか?自分が投票した案が却下されたとき疑問を感じたことはないでしょうか?
ということで今回は、多数決のメリット、デメリットをご紹介しながら多数決を用いる意義や多数決に対する疑問を解消していきます。
多数決のメリット
まずは、アイデアの決定における多数決のメリットを考えていきましょう。
👆公平・納得感を得られる
多数決のメリットは、多くの人間が納得したという形で意思決定がされるので、公平性が保たれることが挙げられます。
独断の意思決定ではなく多数の人間の意思で決定されたのであれば、多くの人間の優良な意思が反映されているので、事業の意思決定にもより良い結果をもたらしてくれるといえるでしょう。「参加者全員の公平な意思決定」といえます。
自分の投票も意思決定に反映されているので、最終的に多数決で選ばれた結果に対して参加者の不満が出にくく、その後もスムーズに進みやすいというメリットもあります。
多数決の大規模版の選挙においても、全ての国民に平等に投票権があり社会的地位に関わらず公平に投票できるという点で、ある程度の納得感が得られます。
👆結果が安定する
多数決の最大の特徴である多くの人の意思を検討し反映させることは、1人の意思で決定するよりも大きなミスが起こりにくいというメリットがあります。
1人の見解よりも、2人・3人の見解の方が視野が広くなるように、多数決で意思決定をした方がミスを未然に防ぎやすくなり、より成功する可能性が高いアイデアを安定して選ぶことができる点もあります。
どんな敏腕社長やカリスマ経営者であっても判断ミスをしないことはありませんから。
👆受け入れられる可能性が高い
商品やサービスとして消費者に提供するアイデアを考える場合、少しでも多くの人のニーズをつかむ必要があります。
独断のアイデアよりも、より多くの人に受け入れられたアイデアの方が、多くの消費者に受け入れられる可能性が高まるのは必然的に理解できますね。
多数決は多くの人々で決めるからこその良さがあるんだな
多数決のデメリット
アイデアの決定における多数決のメリットは理解できたでしょうか。「多数決にはメリットが多いのでは?」と思いそうですが、デメリットもあるので見ていきましょう。
⚡参加者の知識や見解の差⚡
多数決を行う際に参加者全員が同じレベルであれば公平さは保たれますが、そうでないケースがほとんどです。
例えば会社のプロジェクトで多数決をとる際、プロジェクトメンバー全員の知識や見解は同じでしょうか。プロジェクトの責任者とそうでない社員、経験や在籍年数によっても見解は違ってきます。そのようなプロジェクトメンバー内で多数決をとることは果たして公平であるといえるでしょうか。
⚡責任の所在が不明⚡
多数決によって多くの意見を反映させる場合、『その案を誰が決めたのか』という責任の所在が不明になりがちです。
多数決で決めた責任は、「全員で決めたのだから全員にある」が本来あるべき姿ですが、実際は有耶無耶になっていることが多くプロジェクトは方向性を見失っていることが多いです。
プロジェクトが失敗に終わってしまった際に、誰も責任を取らないという状況が起こることもしばしば。多数決によるアイデアの実行には、強力な率先力、推進力を持った責任者の存在が必要です。
⚡奇抜なアイデアは選ばれにくい⚡
会社の方針がイノベーションを推しているにもかかわらず未だに多数の意見を尊重している、という声をよく耳にしますが、革新的で奇抜なアイデアは大勢から指示されないというのも事実です。
あまりにも道の外れたアイデアならともかく、会社的にも飛躍できる革新的アイデアは強烈な指示は得るものの、多くの人からは反対されるケースがほとんどです。
それ故に多数決では無難なアイデアが選ばれて、革新的アイデア=ダイヤの原石は外されてしまうことが往々にしてあります。
未来を変えるには奇抜な発想は必要なのに…
多数決の問題点
こんな多数決と出会ったことはないでしょうか。
多数決の最終結果が、10対9。10の方が票が多かったので、10を採用します。よくある多数決ですが、9に投票した人たちの意見はどうなったのでしょう。
多数決で物事を決める際、結果が出ると採用されなかった側の意見は僅差であってもなかったことにされることがほとんどです。この考えは、幼少期であろうと社会人であろうとそれほど違いはありません。
国の方向性を左右する人材選出である「選挙」においても「多数決」が用いられています。選挙に出馬する方は、票を獲得するためだけに選挙活動を行っているのではと勘違いしてしまうほどです。多くの票にだけ良質な意見があるわけではないのですが。
何が問題かというと、本来の「多数決」とは、少数意見を多数意見に反映するための決め事であって、少数意見を淘汰することではありません。少数意見に耳を傾け、尊重し、多数意見に少数意見を反映する調整をして結論を出す。ときには、結論が少数意見にひっくりかえることもあるでしょう。民主主義とは、このように「一人一人を大事にし」つつルールや結論を決めることなのではないのでしょうか。
前述した選挙では、「死票(しひょう)」※という言葉があることから、当選しなかった票に耳を傾けているとは感じられません。仮に少数意見が尊重され、多数意見に反映されるのであれば「死票」ではないのではないでしょうか。
※死票 選挙において、その票を投じた有権者を代表する当選者がいない票。
✅多数決は正当ではない
「多数決は、みんなの意見を尊重した平等な物事の決め方」のように思えますが、実際には『多数派による少数派への不当な行為』を正当化したやり方である、ともいえます。
例えば極端な例として、女性を奴隷として扱うことを多数決で決めることに「正当性」はあるでしょうか。採用されれば多数決としては『正しい』ですが、それ自体『正しいこと』とはいえません。
多数決で物事を決めたからといって、その結果が「望ましい」ものになるかというとその確証はありません。ある問題について専門知識のない人間が多数派だった場合、多数決を用いるとおかしな結果になることもおおいに考えられます。
多数決は投票するすべての人間が平等に扱われるフィールドで用いるべきやり方であって、一部の人間を不平等・差別的に扱う決定に用いるやり方ではないのです。
多数決のやり方には注意しないと
まとめ
多数決に対する疑問は解消されましたか?
物事を決めるのに多数決はシンプルでわかりやすい方法ではありますが、使い方を間違えると正当性を欠く一方的で不平等な結果を招いてしまいます。
組織における物事の決め事は非常にむずかしく、アイデアとなるとより難しい問題といえます。
多数決のメリット・デメリットを理解したうえで、会社や組織にとって最善のやり方で取り入れてもらいたいものです。